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【デジタル遺品】遺されたスマホやパソコン、データはどうなる?

【更新日】2024.09.17

スマートフォンやSNSが日常生活に欠かせないものとなった現代。
私たちの人生の多くがデジタル化されています。

家族との思い出の写真、大切な人とのメッセージのやりとり、さらには仮想通貨やネットバンキングの資産まで、私たちの人生そのものがデジタルデータとして蓄積されているのです。

しかし、少し考えてみてください。
もし自分に何かあったら、これらのデジタル資産はどうなるのでしょうか?

家族は大切な思い出にアクセスできるのでしょうか?
オンライン上の資産は適切に引き継がれるのでしょうか?

この記事では遺品整理の内デジタル遺品について考察します。

デジタル遺品とは

デジタル遺品とは、亡くなった人が残した、デジタル媒体上に存在するデータやアカウントのことを指します。

具体的には、以下のようなものが含まれます。

  • スマートフォンやパソコンなどの端末自体とそれに保存された写真、動画、音楽、文書
  • SNSのアカウントやブログ
  • オンラインストレージ(クラウド)に保存されたデータ
  • オンラインゲームや仮想通貨、ネット銀行のアカウント

デジタル遺品は大きく分けて2種類あります。
ひとつはスマートフォンやパソコン本体という有形物と、デジタルデータやアカウントなどの無形物です。

有形物とその中のデータや画像などの本体と切り離せないもののは正当な相続人に受け継がれます。
しかし無形物の方は本人以外がアクセスすることは不正アクセスに当たる可能性が出てくるため、遺族がアクセスすることは大変難しいという問題点があります。

デジタル遺品が抱える問題をもう少し詳しく見てみましょう。

デジタル遺品の課題

どのようなデジタル遺品が残っているかがわかりにくい

亡くなった人が残したパソコン、スマホ、SNSアカウントなど、様々なデジタルデータがどこに保存されているのか、そもそもどのようなものがあるのか、遺族が把握するのは容易ではありません。

パスワードロックがかかっていたり、利用サービス名が分からなかったり、亡くなった後にサービス自体が終了していたり…。
目に見えないデータだけに、整理は想像以上に困難です。

各サービス提供者によって対応がバラバラで、法的なルールが未整備

デジタル遺品の中でも、特に問題なのが、サービス提供事業者によって相続の可否や手続きが異なることです。

というのも、デジタル遺品の相続は、民法上の「物」とは異なり、各事業者の独自のルールに基づいて判断されるため、非常に複雑だからです。

例えば、SNSアカウントなどは、たとえユーザーが亡くなってもアカウント自体は存続し、相続人が利用を続けることが可能となる場合があります。

しかし、サービス提供事業者によっては、限定的なアクセスしか許可しなかったり、相続手続き自体を許可しなかったりというケースもあります。

パスワードが不明でデータにアクセスできない

亡くなった人のデジタル遺品を整理しようとしてもアカウントやパスワードがわからず、必要なデータにたどり着けないという課題も深刻です。

特に、パスワードは本人が設定したものであり、容易に推測できないものの使用が推奨されているため、第三者が推測するのは困難です。

もしも亡くなった人がメモに残していたとしても、メモの内容が古くて不完全でありそのパスワードではログインできないケースも多くあります。

大切なデータが眠っている可能性が高いにもかかわらずアクセスできないという状況は、精神的にも大きな負担となります。

放置すると個人情報の漏洩や金銭的被害のリスクがある

デジタル遺品を放置しておくことは、個人情報や機密情報が漏洩するリスクを伴います。
パスワードがかかっていない端末や古いOSのまま放置された端末は、ハッキングなどの被害を受けやすくなります。

また、ハッキングの結果SNSアカウントなどが乗っ取られた場合、亡くなった人の名前や画像を悪用されたり、金銭的な被害が発生したり、場合によってはなりすましされ犯罪に利用されてしまう可能性もあります。

さらに、クレジットカード情報や銀行口座情報などの機密情報が漏洩すると、金銭的に被害を被る可能性もでてきます。

デジタル遺品の課題にどのように対処すればよいか

デジタル遺品リストの作成

まず生前にデジタル遺品リストを作成し、利用中のサービスやアカウント、パスワードなどをリストにまとめ、家族と共有しておくことができます。

これにはエンディングノートを活用することもできるでしょう。そこにデジタル遺品に関する情報を記載して、 パスワードのヒントや、希望する取り扱い方法などを書き残しておくことができます。

またデジタル遺品整理サービスを利用することもできます。
このサービスは専門業者が、デジタル遺品の整理・移行・消去などを代行してくれます。

サービス利用規約を確認する

各サービスの利用規約で相続手続きやアカウントの取り扱いについてどのように定められているかを確認しておきます。

利用規約の内容に応じて、必要であれば生前に相続手続きを進めておくことができます。

パスワード管理を徹底する

複数のパスワードを安全に管理できるパスワード管理ツールを利用します。
さらに重要なアカウントのパスワードに関しては信頼できる家族と共有しておきます。

セキュリティ対策を講じる

セキュリティソフトを導入しそれを最新の状態に保つことで、万が一しばらくデジタル遺品を放置せざるを得ない状況になったときにも不正アクセスにあう危険性を低くすることができます。

また攻撃対象となる不要なアプリやデータを削除しておき、定期的にバックアップを取ることで、万一のアクシデントに備えることが可能となります。

専門家に相談する

弁護士や司法書士などの専門家が法律の面から、遺品整理や相続手続きに関するアドバイスをくれます。

法律事務所によっては初回相談を無料に設定しているところもありますので、上手に活用して相談しましょう。

デジタル遺品整理の実例

事例1】クラウドストレージの写真データ
ある男性が、がんで他界した妻のスマートフォンに保存されていた家族写真を取り出そうとしたが、クラウドにバックアップされており、パスワードが不明だったため取り出せませんでした。

解決策
クラウドサービス提供会社のサポートに連絡して、必要とされる死亡証明書と婚姻関係を証明する書類を提出しました。(サービスによっては裁判所からの許可書が必要な場合があります。)

審査の結果、データのダウンロードが許可され、写真を取り戻すことができました。

ポイント
クラウドサービスのアカウント情報や、重要なデータへのアクセス方法を家族と共有しておくことが重要

事例2】ゲームアカウントの譲渡
ゲーム好きだった10代の子供を病気で亡くした両親が、子供の思い出としてゲームアカウントを維持したいと考えましたが、ゲーム会社がアカウントの譲渡を認めませんでした。

解決策
ゲーム会社のカスタマーサポートに状況を説明したところ、会社の方針により、アカウントの譲渡は不可能でした。

しかし、アカウント内のキャラクターやアイテムのスクリーンショットを提供してもらえたので、これらのスクリーンショットを思い出のアルバムとしてまとめました。

ポイント
デジタルコンテンツの所有権は複雑で、必ずしも遺族に引き継げるとは限りません。
代替手段を探ることも重要です。

まとめ

デジタル遺品の問題は、ある日突然私たちの前に現れます。
十分な準備をしていたとしても、すべてを完璧にカバーすることは難しいかもしれません。

しかし、今日からできることはたくさんあります。
まずは家族とデジタル遺品について話し合い、デジタル遺品リストの作成を始めてみてはいかがでしょうか。

また、重要なアカウントのパスワード管理を見直すのも良いでしょう。

これらの小さな一歩が、将来的に大切な人々の負担を軽減し、あなたの思い出と資産を守ることにつながります。
デジタル時代の遺産相続、今日から準備を始めてみませんか?

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